特集 注目すべき高齢者の腹部救急疾患診療
4.救急の視点から(3)高齢者の腹部救急疾患の「Oncologic emergency」のトピックス
柴田 昌彦
1,2,3
,
佐瀬 善一郎
2
,
矢澤 貴
2,3
,
井上 典夫
2,3
,
高田 信
4
,
河野 浩二
1,2
,
竹之下 誠一
5
1福島県立医科大学地域包括的癌診療研究講座
2福島県立医科大学消化管外科学講座
3会津中央病院外科
4坂下厚生総合病院
5福島県立医科大学
キーワード:
腫瘍緊急
,
出血
,
閉塞
,
高齢者医療
Keyword:
腫瘍緊急
,
出血
,
閉塞
,
高齢者医療
pp.461-468
発行日 2025年3月20日
Published Date 2025/3/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000003413
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Oncologic emergency (OE:腫瘍緊急)とは,血液疾患を含むさまざまな悪性疾患(癌)自体,あるいはその生体に与える影響,さらに治療による原因により,発症後短期間に重症化し緊急的な処置を要する一連の病態である.高齢者診療の特徴としては,緊急手術に際しては術後早期の死亡例も多く,侵襲の低い術式の選択,感染巣の確実なドレナージ,消化管吻合を行わない術式などの選択も必要となる.OEとして重要な病態は食道癌では閉塞,出血,気管・気管支浸潤による気道感染や呼吸不全である.胃癌で重要なのは腫瘍による通過障害,出血,穿孔,腹膜播種,癌性リンパ管症である.肝胆膵の領域では肝細胞癌の破裂に対する対応が重要である.また,高齢者では合併症や臓器障害が併存することも多く原疾患の治療と並行して併存疾患の治療を進めることが重要である.さらに,高齢者ではリハビリテーションなど他施設を含めた治療・療養の長期的な計画が必要となる.

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