巻頭言
15秒+60年
宇原 久
1
Hisashi UHARA
1
1札幌医科大学皮膚科,教授
pp.1617-1618
発行日 2021年10月1日
Published Date 2021/10/1
DOI https://doi.org/10.18888/hi.0000002876
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学生時代の一時期,抽象作品に凝ったことがありました。デッサン力がいまひとつで,具象から逃げたというのが実情です。ジャクソン・ポロックをまねてキャンバスに絵具をたたきつけるようなこともしました。しかし,あのあたりにこんな色が飛び散って欲しいな,などと感じて恣意的な作業を加えると,私の場合は日本画家,小泉淳作の言ういやらしい作品(中札内美術村内の同氏美術館の掲示物より……こことてもお勧めです)……トクトクと腕力を誇示しようとする絵,見る人がどう描いたら感心するかに媚びる絵,周囲の絵より少しでも己が目立ちたい絵,できるだけ苦労しないですまそうとする絵,自分はもうこれでよいと思う傲慢な絵,他人の仕事を頂戴してしまう絵……そのものになってしまいました。それではと目を閉じて描いたこともあり,気持ち悪さは多少減りましたが,偶然の産物を作り続けることにはすぐに飽きてしまいました。
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