連載 特集アドバンストコース
『臨床画像』Vol.34,6月号特集 所見から進める膵腫瘤の鑑別
小坂 一斗
1
1金沢大学大学院医学研究科 放射線科
pp.1245-1248
発行日 2018年10月26日
Published Date 2018/10/26
DOI https://doi.org/10.18885/cij.201834101245
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膵腫瘤における画像診断は超音波検査,造影dynamic CT,MRI/MRCPが基本となり,病変の特徴から鑑別診断を絞っていく。その際に重要となる所見が,病変の石灰化の有無,出血の有無,造影効果(多血・乏血,嚢胞性,漸増性濃染の有無),主膵管や脈管との関係などである。典型例の診断は容易であるが,同じ疾患でも画像所見の幅が広いことがあり,そのため日常診療では一筋縄ではいかない症例に遭遇することが多い。例えば膵神経内分泌腫瘍や充実性偽乳頭状腫瘍は画像のバリエーションが非常に多彩であることはよく知られているが,最も一般的な膵悪性腫瘍である膵管癌でもさまざまな画像所見を呈する。膵管癌は,通常は乏血性腫瘤で尾側の主膵管拡張を示す場合が多いが,小型,高分化な膵管癌は周囲膵と同程度の濃染を示すことがある。また,まれながら石灰化を伴う例,壊死に伴う嚢胞成分を示す例がある。従って,さまざまな症例を経験し鑑別の引き出し口を多くもっておくことは,非典型的所見を認めた場合でも診断のブレが軽減され全体的な正診率向上につながるといえる。
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