Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
は じ め に
運動器疾患を取り扱う整形外科において,骨粗鬆症に対する薬物治療が行われている.骨粗鬆症治療薬の一つに,ビタミンD3製剤であるエルデカルシトール(ELD)カプセルがある.ELD(0.75μg/日)には原発性骨粗鬆症患者に対する椎体および前腕骨の骨折抑制効果があり1),単独療法で使われている.また,閉経後骨粗鬆症患者において腸管でのカルシウム吸収促進効果があることから2),選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM),ビスホスホネート,デノスマブといった骨吸収抑制薬やロモソズマブと併用療法でも使われている.ELD(0.75μg/日)で高カルシウム血症(副作用)が発現した患者において,投与中止後に血清カルシウム値が正常化した後に,ELD(0.5μg/日)の使用が検討される.
ELDカプセルは,骨粗鬆症治療において有用な薬剤と考えられる.しかし,患者側から薬剤師・医師に対して,カプセルがつかみにくい,カプセルが転がりやすい,カプセルがのどにつく,シートから取り出しにくい,薬剤名の記載がなく識別しにくいといった問題点が指摘されている.これらの問題は,骨粗鬆症治療におけるアドヒアランスの低下につながる可能性がある.
ELDの錠剤が開発され(oil dispersion法を用いてELDを錠剤化),2022年12月からELD錠が使用可能となった.添付文書より,ELD錠はELDカプセルとは生物学的に同等であることが確認されている.ELD錠は識別性・視認性を考えたデザインで,press through pack(PTP)シートと錠剤の両面に製品名と含量が印刷されている.また,識別性を考慮し,規格間でPTPシート・錠剤の色調が調整されている.したがって,ELD錠は処方医・薬剤師・患者に恩恵をもたらす剤形として期待されている.
ELDに関して,患者の嗜好性を調査し,剤形の選択について検討することは重要である.これまでに,ELDカプセル・錠剤の患者嗜好性についての報告は見当たらない.本研究では,当施設を受診しELDカプセルを1ヵ月以上服用している骨粗鬆症患者に対して,ELD錠の嗜好性のアンケート(無記名)を行い,その満足度や不満足の理由などについて調査した.
© Nankodo Co., Ltd., 2023