Japanese
English
特集 整形外科臨床研究の手引き――適切に行い,正しく読み解くために
Ⅱ.臨床研究のデザイン
5.システマティックレビュー
Systematic review
野間 久史
1
H. Noma
1
1情報・システム研究機構統計数理研究所
1The Institute of Statistical Mathematics, Research Organization of Information and Systems, Tachikawa
キーワード:
meta-analysis
,
EBM
,
network meta-analysis
,
comparative effectiveness research
Keyword:
meta-analysis
,
EBM
,
network meta-analysis
,
comparative effectiveness research
pp.540-545
発行日 2020年5月30日
Published Date 2020/5/30
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei71_540
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
は じ め に
Sackettら1)によると,evidence-based medicine(EBM)とは「個々の患者の治療の意思決定において,良心的に,明確に,分別をもって,最新・最良の医学知見を用いること(conscientious, explicit, and judicious use of current best evidence in making decisions about the care of individual patients)」であるとされている.ここでいう「最新・最良の医学知見」とは,なんなのであろうか? 医学における科学的知見は,日々,世界中で公表される膨大な研究成果の蓄積によって更新されている.
たとえば,米国National Center for Biotechnology Information(NCBI)が運営する文献データベースPubMedには,年間100万件以上の文献が新たに登録されていく.「最新・最良の医学知見」とは,こうして新たに蓄積された成果を適切に反映したものである必要がある.システマティックレビュー(systematic review)とは,このように,蓄積されていくエビデンスを網羅的に収集し,系統的な評価および統合解析を行い,総合的なエビデンスを与えるためのレビューのことをいう.そして,そのために用いられる統計解析の方法をメタアナリシス(meta-analysis)という.本項では,British Medical Journal(BMJ)誌,Lancet誌などの具体的な事例を交えながら,システマティックレビューに用いられる方法の解説を行う.
© Nankodo Co., Ltd., 2020