Japanese
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連載 卒後研修講座
腱板断裂治療の問題点
The agendas of the treatments for rotator cuff tears
森澤 佳三
1
,
北村 歳男
2
K. Morisawa
1
,
T. Kitamura
2
1副島整形外科病院
2熊本整形外科病院
1Soejima Orthopaedic Hospital
キーワード:
rotator cuff tear
,
cuff tear arthropathy
,
cuff repair
Keyword:
rotator cuff tear
,
cuff tear arthropathy
,
cuff repair
pp.463-471
発行日 2018年5月1日
Published Date 2018/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei69_463
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は じ め に
中高年の肩痛は腱板の病変が原因となっていることが多い.肩関節は不安定な関節でその安定化には軟部組織の腱板が大きな役割を担っている.腱板は肩峰と上腕骨の大結節に挟み込まれ,さまざまな運動によってストレスを受け炎症や変性が起こりやすい部位である.そのため脆弱になりさまざまな外力で腱板断裂は容易に発生することが想像される.腱板断裂の発生頻度についてはcadaverによる報告が散見され,結果はおおむね5~39%である.最近行われた超音波診断による住民健診の結果では20.7%(全住民)であり,80歳以上では50.0%であったと報告されている1)(図1).また,その他の住民健診の結果でもやや頻度は低いが50歳台(10.7%)から徐々に増加し,80歳台では36.6%と高率に存在する報告がある2)(図2a).これらの報告から高齢化がすすむことで腱板断裂患者が増加することが予測される.そのため腱板断裂の発生要因や発生機序を明確にし,予防と適確な治療法を実施することが必要である.
© Nankodo Co., Ltd., 2018