特集 これは知っておきたい―治療に勝る! 感染症の予防2025
[Chapter 3] 特定の感染症の予防戦略
感染性心内膜炎
三枝 寛理
1
,
森 信好
1
1聖路加国際病院 感染症科
キーワード:
感染性心内膜炎(IE)
,
リスク因子
,
予防戦略
Keyword:
感染性心内膜炎(IE)
,
リスク因子
,
予防戦略
pp.1338-1342
発行日 2025年6月1日
Published Date 2025/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika135_1338
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★★★感染性心内膜炎(IE)は,心内膜や心臓弁に微生物が感染し,弁膜の破壊や塞栓症,多臓器不全を引き起こす重篤な疾患で,血流を介した細菌の侵入が主な原因である.
★★★IEのリスク因子には,人工弁,先天性心疾患,弁膜症などの心臓関連の要因がある.また,中心静脈カテーテルやペースメーカ,透析など医療処置に伴う要因もリスクを高める.さらに,口腔衛生の不良や喫煙,静脈薬物使用といった生活習慣も影響を与えることが報告されている.
★★予防戦略として,歯科処置前に高リスク患者への抗菌薬(amoxicillinなど)の予防投与が推奨されている.非歯科処置では患者のリスクに応じて抗菌薬投与を検討する.
★米国と欧州のガイドラインでは,予防的抗菌薬の使用を高度リスク群に限定している.一方,日本では中等度リスク群にも対応する方針を採用している.
★★★日常生活における感染予防には,口腔衛生の徹底や禁煙,バランスのとれた食生活の維持などが重要である.
★★★:一般内科診療で必要な内容,★★:総合内科専門医試験レベルの内容,★:専門性の高い内容

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