特集 ここまでできる! プライマリケア―領域別で考えるプライマリケア医と専門医の役割
第10章:腎臓
[乏尿]急性腎障害,急速進行性糸球体腎炎,閉塞性腎症など
平橋 淳一
1
1慶應義塾大学病院総合診療科
pp.1031-1036
発行日 2025年4月1日
Published Date 2025/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika135_1031
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プライマリケアでここまでできる!
・問診,血液・尿検査,胸部X線検査などで診察時の全身状態と乏尿の関係を把握する.
・緊急対応が必要な場合(高カリウム血症,低酸素血症,尿毒症など)は,即時に治療を開始する.
・乏尿の原因を推定する.まずは,“腎後性=尿路の閉塞” をrule out! 超音波で膀胱に尿があるかどうかを確認し導尿する.超音波検査,CTで水腎症や尿路閉塞機転の有無を検索する.
・腎前性腎不全の鑑別のためには,尿中ナトリウム排泄率(FENa<1.0%)を計算し,原因推定のために体液量の減少(下痢,嘔吐,熱傷,出血など)ないし有効循環血漿量減少(心不全,ネフローゼ,肝硬変などの浮腫性疾患や,敗血症などによる血圧低下)を判断する.
・腎後性,腎前性が否定できたら蛋白尿,尿沈渣における円柱,FENa>2%などの所見から腎性腎不全と判断し,急性尿細管壊死(薬剤性,虚血性),急性腎炎,急速進行性糸球体腎炎などを想定し,腎臓内科へコンサルテーションする.
ここからは専門医に任せよう!
・閉塞性腎症が明らかとなったときは泌尿器科に紹介する.
・高カリウム血症,溢水による肺水腫,急性腎不全があるときは緊急検査および処置と並行して腎臓内科あるいは救急科に紹介する.
・腎性腎不全(急性尿細管壊死,急性腎炎,急速進行性腎炎,急性間質性腎炎など)が想定される場合は腎臓内科に紹介する.

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