特集 患者の将来を見据えた実践的糖尿病診療―脱 “血糖屋さん” のススメ
[Chapter 3] 血糖値だけではない糖尿病併存症の診断・予防・治療
糖尿病患者における心不全の診断・予防・治療
柴田 玲
1
1名古屋大学大学院 医学系研究科先進循環器治療学
キーワード:
心不全
,
BNP
,
インクレチン関連薬
,
SGLT2阻害薬
Keyword:
心不全
,
BNP
,
インクレチン関連薬
,
SGLT2阻害薬
pp.1160-1164
発行日 2024年5月1日
Published Date 2024/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika133_1160
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▪わが国の糖尿病患者では,高齢者を中心に心不全の増加が顕著である.
▪糖尿病患者が心不全を合併すると,非常に予後がわるい.
▪SGLT2阻害薬の使用は,糖尿病患者の心不全入院リスクを大幅に減らす.
▪BNP≧100pg/mL(NT-proBNP≧300mg/dL)の場合には,治療対象となる心不全の可能性を想定すべきである.
▪糖尿病は,心不全ステージ分類におけるステージA(リスクステージ)であり,心不全の入り口と考える.
▪心不全の発症・進展予防の観点からは,糖尿病患者に対して,可能な限り早期からSGLT2阻害薬の投与を考慮すべきである.
▪2型糖尿病を合併したSGLT2阻害薬を使用中の心不全患者では,食事摂取制限を伴う手術を受ける場合は手術3日前から休薬し,術後は食事摂取が可能になってから再開する.
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