Book Review
ここが大事! 高齢者皮膚診療のコツとピットフォール
出光 俊郎
1
1自治医科大学附属さいたま医療センター皮膚科 教授
pp.153-153
発行日 2020年1月1日
Published Date 2020/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika125_153
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- 文献概要
皮膚科に来院する患者は男女を問わず,また小児から高齢の方まで年齢も幅広い.少子高齢化社会に伴い,私たち皮膚科医も高齢者を診察する機会が増えている.とくに冬季には中~高年の皮脂欠乏性湿疹患者が多数来院する.また,高齢者の糖尿病や人工透析に伴う難治性瘙痒性疾患は臨床医としても頭を悩ませるところである.さらに,高齢者では皮膚の脆弱性からの紫斑,擦過創における皮弁様の広範囲皮膚剥離やwarfarin内服中の打撲でみられる解離性皮下血腫など,若年の患者ではみられない特異な所見も観察される.寝たきり患者でオムツを使用していれば,オムツ皮膚炎や褥瘡にもなる.栄養状態がわるければ褥瘡の治癒も遷延する.糖尿病の足潰瘍や動脈硬化による壊死もあるため,爪やフットケアの知識も重要である.高齢者では認知症も加わり,病歴の不確かさもあれば,外用薬の残量もあてにならない.指導したスキンケアもなされていない.多数の薬剤を服用していれば薬疹も起こりやすい.処置にも時間がかかる.こうした高齢者のスキントラブルの問題点を整理し,理解するためのテキストはまさに時代の要望であった.
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