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Perspective◆展望
高齢者糖尿病診療のピットフォール
Pitfall in the management of elderly diabetic patient
大久保 雅通
1
1内科(糖尿病)久安医院
pp.495
発行日 2014年7月15日
Published Date 2014/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415101780
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日本では急速な高齢化が進行するとともに,70歳以上の3人に1人が糖尿病の可能性をもつ時代を迎えている.したがって,これからの糖尿病診療において,高齢者を視野に入れない治療はもはや成立しない.日常の多くの外来のなかで,80代はおろか,90歳を超える糖尿病患者を診ることさえ珍しいことではなくなった.しかしながら,自分の学生時代を振り返ってみると,このような高齢者をいかに診療するかを詳細に学んだ記憶はない.一つ確実に言えることは,その答えが成人の糖尿病診療の単なる延長線上にはないということだろう.
最近の他誌の特集でも,高齢者糖尿病の診療を主題としたものはいくつかみられるが,多くは血糖,血圧,脂質の目標をどこにおくか,薬物療法は何を選ぶかなど,内容が網羅的で似たものになっていると感じる.今回の特集は,本誌の特徴の一つと言うべき「プラクティカルであること」を前面に出した構成となっている.糖尿病専門医も,年代によって高齢者糖尿病について受けた教育,診療経験は異なっていると考えられる.そこで今回の鼎談では各世代にまたがってディスカッションを行うこととした.次に,診療の基本として問診と診察を取り上げ,咀嚼・嚥下機能,さらには高齢者を支援する制度について解説を行っていただいた.次に治療については,食事,運動,薬物について,具体的・実戦的に述べていただくこととした.最後に療養指導について,在宅での診療を視野に入れた解説をお願いしている.
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