連載 こんなとき,漢方薬が味方になります! ~漢方医が伝授する実践的な処方のノウハウ~
第7回 45歳,女性【主訴】膿瘍形成のある難治性乳腺炎
田中 耕一郎
1
1東邦大学医療センター大森病院東洋医学科
pp.1425-1428
発行日 2020年6月1日
Published Date 2020/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika125_1425
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
感染症科からのコンサルト(X年7月受診)
下記疾患について,抗菌薬を変更しながら用いてきましたが,著効が得られません.漢方による治療の選択肢はありますでしょうか.
X−1年より右の乳房痛と腫瘤を自覚され,乳腺外科を受診されています.触診上,右乳腺右2時方向に硬結を認め,針生検にて病理診断にも提出しましたが炎症性細胞の浸潤のみで悪性所見は認めていません.しかし,10月に3時方向,11月に9時方向,1月には1時方向に同様の硬結を認め,膿瘍形成しています.十数本のドレーン留置にてドレナージしていますが,排膿は継続しています.出産歴なく,血液検査所見上も炎症所見を認めず,明らかな原因も特定されていません.痛みのためにloxoprofen 3錠(分3),抗菌薬はminocyclineを使用しています.
© Nankodo Co., Ltd., 2020