Book Review
循環器科の心電図―ECG for Cardiologists
丸山 徹
1
1九州大学基幹教育院健康支援センター 教授
pp.605-605
発行日 2019年4月1日
Published Date 2019/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika123_605
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- 文献概要
このたび,村川裕二先生の編集による「循環器科の心電図」が刊行された.分担執筆された先生方はいずれもわが国の心電学をリードしてきた先生方である.しかし,考えてみれば奇妙なタイトルのテキストである.心電図は循環器科の専売特許ではないにしても,あえて循環器科と冠する編者のこだわりを知りたい気がした.心電学のテキストは枚挙にいとまがない.事実,編者もこれまで数多くの心電学のテキストを上梓しているが,序文で書かれているように心電学のテキストは時代的に大きく3つに分けられる.引用すると,① 黎明期(~1970年代)は心電図の理論(心電図の成因や誘導理論)を重視した時代で学生には難解なテキストが多かった.② 成熟期(~20世紀末)は心電図を不整脈のみならず虚血や弁膜症,心筋症などの診断に応用した時代で,心電図を時間的(ホルター心電図など),空間的(体表面マッピングや心内電位図など)に展開した時代でもあった.そして,③ マニュアル期(~現在まで)になり,初心者向けのわかりやすいテキストが多くなった.これだけマスターすれば当面は困らないというレベルを意識している.
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