書評
緩和ケア 即戦力ノート―あなたにもできる,やさしい緩和ケア
中村 将人
1
1慈泉会相澤病院がん集学治療センター化学療法科
pp.749
発行日 2024年5月1日
Published Date 2024/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_geka86_749
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- 文献概要
緩和ケアの専門家ではない医療者に向けた緩和ケアの「最強のカンペ」の登場である.著者は緩和ケア医として臨床を行いながらウェブサイト「緩和ケア オンラインポータル(palliative care online portal:PCOP)」を運営されており,同ウェブサイトと連動した内容となっている.本書を一読して感じるのは圧倒的な使いやすさである.読み物というより,臨床現場ですぐに使えるツールという性質が強いように感じる.第1章緩和ケア総論,第2章全人的ケア,第3章意思決定支援などの総論的な部分は臨床で緩和ケアを行うための考え方として必須であろうし,第4章の症状緩和の部分では各症状への対応が具体的にまとめられている.たとえばオピオイドの処方において,緩和ケアの専門医でない場合,今までに使い慣れている製剤を使用しがちであると思うが,患者の病態に応じたオピオイドの選択,初期使用量までが詳細に解説されており,臨床の現場で本書を使用することにより患者の病態,病状に応じた選択ができるようになるであろう.呼吸困難,咳嗽,便秘,食事摂取量低下といった終末期でよくみられる症状に対しては,アセスメント,対応がフローチャートで一目でわかるようになっていてこちらも使いやすい.第5章の終末期ケアでは鎮静,輸液,予後予測・看取りについて記載されており,臨床家は一度は目をとおしておくべき内容であると考える.
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