骨折(四肢・脊椎脊髄外傷)の診断と治療(その1)
骨盤・下肢 骨盤・骨盤輪 骨盤輪骨折を伴う多発外傷における血清乳酸値の検討と有用性
大畑 徹也
1
,
星 亨
,
樽井 武彦
,
山口 芳裕
,
市村 正一
1杏林大学高度救命救急センター
キーワード:
危険因子
,
Lactic Acid
,
ロジスティックモデル
,
基準値
,
多発性外傷
,
骨盤骨折
Keyword:
Multiple Trauma
,
Risk Factors
,
Reference Values
,
Logistic Models
,
Lactic Acid
pp.35-40
発行日 2016年10月10日
Published Date 2016/10/10
DOI https://doi.org/10.15106/J04037.2017077761
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骨盤輪骨折で搬送された80例(男49例、女31例、平均年齢43.7±23.4歳)を、搬入時の血清乳酸値が4.1mmol/l未満(L群)と4.1mmol/l以上(H群)に分け、生命予後因子を比較検討した。またH群において搬入時の血清乳酸値・搬入6時間後(6時間値)・搬入から6時間までの推移(変動値)を中心に、死亡例における独立危険因子を検討した。L群は57例、H群は23例であり、H群では死亡例が有意に多く、高齢であり、平均外傷重症度スコアが高値であった。H群における生存例は16例、死亡例は7例であり、血清乳酸値の6時間値は死亡群が有意に高値であり、変動値は死亡群で+1.55mmol/lであった一方、生存群では-2.46mmol/lと有意に改善した。多重ロジスティック回帰分析では死亡率に影響を与えた独立危険因子は6時間値であり、カットオフ値は4.1mmol/lであった。血清乳酸値4.1mmol/l以上は搬入時の予後予測因子であり、6時間後では予後不良因子である。
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