発行日 2014年5月20日
Published Date 2014/5/20
DOI https://doi.org/10.15106/J03022.2014242872
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[背景]緩和ケアを受けている高齢患者の精神疾患で主なものにせん妄、うつ、認知症(delirium、depression、dementia:3D)がある。今回この三疾患を同時にかつ容易にスクリーニングできるツール(3DST)の開発を目的に研究を行った。[方法]緩和ケア病棟に入院した成人がん患者に横断的調査を行った。看護師が本ツールで評価し、精神腫瘍科医の診断をGold Standardとして感度・特異度を算出した。[結果]入院患者97人中57人が研究に参加した。感度・特異度はせん妄で0.53・0.95、うつで0.50・0.93、認知症で0.67・0.98であった。[考察]われわれの知る限りこれは三疾患を同時にかつ容易にスクリーニングできる初めてのツールである。それぞれに対する感度が0.5以上あった。これまで一般医療者による診断の感度は0.2~0.4%であり、これを日常使用することで三疾患いずれかの半数以上を、これまで以上に容易にとらえることができると考えられる。高い特異度を有しているので三疾患を鑑別するのにも有用と考える。[結語]緩和ケアの現場でせん妄、うつ、認知症をスクリーニングする簡便なツール「3DST」を開発した。今後、信頼性と妥当性の検証が必要である。
©Nankodo Co., Ltd., 2014