糸球体疾患 腎炎からネフローゼまで、最高の診療を目指して
IgA腎症における糖鎖異常
鈴木 仁
1
,
鈴木 祐介
,
富野 康日己
1順天堂大学 医学部腎臓内科
キーワード:
IgA
,
抗原抗体複合体
,
糸球体腎炎-IgA
,
炭水化物配列
Keyword:
Antigen-Antibody Complex
,
Carbohydrate Sequence
,
Immunoglobulin A
,
Glomerulonephritis, IGA
pp.98-101
発行日 2010年7月1日
Published Date 2010/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2010250373
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IgA腎症患者の血中および糸球体に沈着するIgA1には、糖鎖異常IgA1が増加している。糖鎖異常IgA1は、IgA1産生B細胞での糖鎖修飾酵素の異常によって産生される。糖鎖異常IgA1は、IgA1凝集体や高分子の免疫複合体を形成することにより、肝臓でのクリアランスが遷延し、糸球体に沈着することが示唆されている。実際、IgA腎症患者血中には、糖鎖異常IgA1を特異的に認識するIgG抗体が増加しており、VH遺伝子のアミノ酸変異が原因で産生されることが考えられた。まず糖鎖異常IgA1が産生されること(1st Hit)、そして、糖鎖異常IgA1特異的抗体が産生されて(2nd Hit)免疫複合体を形成することが、IgA腎症の病態に深く関与していることが考えられた。
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