発行日 2004年11月1日
Published Date 2004/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2005013132
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)は,原因不明で治療法のない神経難病である.近年の精力的な疾患研究により,ALSの病態メカニズムがさまざまな面で明らかにされ,特異的治療法開発への道が開かれつつある.家族性ALSでは,少なくとも10ヶ所の遺伝子座が同定され,このうち3つの遺伝子が決定された.変異SOD1に新たに細胞毒性が付与されることが運動ニューロン変性の原因になると考えられ,ミトコンドリア障害を含む酸化ストレスによる障害説や,変異SOD1がミスフォールド化した凝集体が細胞に蓄積し細胞毒性を発揮するという仮説が提唱されている.ALSの大多数を占める孤発性ALSの病態仮説としては,グルタミン酸受容体サブタイプであるAMPA受容体を介した興奮性神経細胞死が有力視されてきた中で,最近われわれは,ALSの疾患病態と直接関わっていると考えられる脊髄運動ニューロン選択的な分子変化を明らかにした.すなわち,ALS脊髄運動ニューロンに疾患特異的,細胞選択的に認められるAMPA受容体のGluR2Q/R部位RNA編集異常により,AMPA受容体チャネルのCa2+透過性が亢進し細胞死を引き起こしていると考えられること,そしてGluR2Q/R部位のGluR2編集率を規定する因子の一つにADAR2 mRNA発現量があることを明らかにした
©Nankodo Co., Ltd., 2004