第2特集 令和の育児観と家族志向のケア
各論
家族志向ケア・家族療法の視点からみる臨床家とその育児観
山田 宇以
1
1聖路加国際病院 心療内科
pp.361-363
発行日 2025年2月1日
Published Date 2025/2/1
DOI https://doi.org/10.15104/th.2025030016
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はじめに
価値観は原家族(生まれ育った家族)から学び,多世代に伝承される.たとえば,家族 を想い,裏切らないとの暗黙のルールは個人の行動や人間関係に大きく影響し,家族療法で は“忠誠心”と呼ぶ1).原家族の育児観・期待に沿った子育てをするのか,忠誠心を問われ, 従えば安心につながる一方,逆らうと葛藤や罪悪感に悩むことになる.世代間や夫婦間の 育児観の違いにも,それぞれの原家族への忠誠心が関与する.この関係は,医師と患者・ 家族間でも起こる.自分の価値観と異なる子育て,とくに虐待を疑う例では,医師も大き く揺さぶられる.医師は客観的なつもりでも,実際は自分の感情,原家族からの忠誠心な ど,さまざまな要素に影響されることを忘れてはならない.
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