◆特集 特別支援教育に生かす作業療法の理念と成果—つながる意味と作業療法の可能性
特集にあたって
辛島 千恵子
pp.488
発行日 2009年10月15日
Published Date 2009/10/15
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- 文献概要
「Tちゃん,上手ね.先生きっと誉めてくれるね」とわくわくする思いで,子どもたちを旧養護学校(現,特別支援学校)の教室まで送り,作業療法でできたことを先生に報告し共に喜びあった頃からほぼ30年が経った今,ようやく風穴が開きました.この時代を迎えることができたことと,一人の作業療法士として力を注げる喜びはひとしおです.
特別支援教育とは,一人一人の教育的ニーズを把握して,そのもてる力を高め,生活や学習上の困難を改善するために,適切な教育や指導をとおして必要な支援を行うことをさします.従来の特殊教育で対象としていた子どもたちだけでなく,発達障害者支援法に定められた子どもたちも含めて,特別な教育的ニーズをもつ全ての子どもたちを対象とするものです.その支援は,学校内外の機関,専門家の総合的な活用を図り,連携協力を進めながら行っていきます.今こそ,医療,福祉領域で蓄積した作業療法の理念や成果を,教育という場で花開かせる時代がやってきました.2007年4月から各地で活動の産声をあげてから,加速度的に作業療法士と学校教員との協働が進んでいます.今年度の学会発表も,特別支援教育に関するものは発達障害の総発表数の33%と嬉しい状況です.
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