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2014年(平成26年)11月22,23日に大阪国際会議場にて,一般社団法人日本LD学会第23回大会が開催されました.テーマは「より効果的な支援をめざして—学習支援から問う特別支援教育」です.本会の目的は,LD・ADHD等の発達障がいに関する研究・臨床・教育の進歩と,教育の質的向上と福祉の増進を図ることにあります.参加者は小・中・高等学校,特別支援学校をはじめとする学校関係者や医療関係者等であり,発達障がいをもつ方々に携わる多くの支援者が一堂に会して,発達障がいの適切な理解やさまざまな支援のあり方を研修する大変貴重な機会となっています.本会はテーマに沿って講演や研修・ミニレクチャー等が行われますが,何よりも大会企画シンポジウムや多くの自主シンポジウムが企画されているのが大きな特徴です.
今回,私は自主シンポジウム「不器用な子どもたちへの認知作業トレーニング—矯正施設での実践と教育現場への可能性」に話題提供者として参加させていただきました(写真).認知作業トレーニング(以下,COGOT)は,発達障がいや知的障がいをもつ人の中で身体的不器用さがみられる対象者に対し,その改善を目的に宮川医療少年院の宮口幸治先生らによって開発されたトレーニングです.COGOTの特徴は,協調運動を行うために必要な体性感覚や注意・集中力,動作の予測や記憶等の脳機能にも働きかけるところにあります.また,体系的に組まれたトレーニングモジュールを実施することで,対象者は動作や運動をうまく遂行するためにはどうすればよいか考えながら学習していきます.すでに少年矯正施設での効果検証により,身体的不器用さの改善に有効なトレーニングであるとされています.また,教育現場でも,知的障がいや発達障がいをもつ子どもたちへの支援の1つとして普及されることと思います.
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