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小生が本誌編集委員を拝命してから早いもので,この4月で3年が経過します.この間,手術支援ロボットを取り巻く環境は大きく変化いたしました.2022年4月の診療報酬改定では,肝切除術,結腸切除術が新たに追加となり,胃切除においては消化器外科領域で唯一の診療報酬加算が認められました.ロボット新規機種の開発も活発で,hinotoriサージカルロボットシステム(メディカロイド社),da Vinci SPサージカルシステム(インテュイティブサージカル社),ANSURサージカルユニット(朝日インテック社),Saroaサージカルシステム(リバーフィールド社),Hugo RASシステム(コヴィディエンジャパン社)などが続々と製造販売承認され,市場に出回ることとなりました.本誌においても大きな変化があり,新たに「video articles」の掲載が開始されました.医療機器はとどまることなく改良され,発展してきていますが,それらを使いこなす外科医の技術も日進月歩で向上してきています.この「video articles」は,文章や静止画のみでは説明不十分な部分を動画で視覚的に補うことができるため,技術の共有という点において,本誌が読者の先生方にとってこれまで以上に有用なものとなればと願っています.
本号は,原著1編,症例報告11編,video articles 1編を掲載しております.「video articles」は完全内臓逆位の転移性肝腫瘍に対する腹腔鏡下肝切除術であります.非常に稀な症例に対する手術を疑似体験できた気になりました.原著論文では,閉塞性左側大腸癌に対する術前ステント留置の短期・長期の安全性,有用性を報告しています.症例報告では,ロボット支援直腸手術時に体幹部の挫滅症候群を起こした1例やLVAD装着患者に対する単孔式腹腔鏡下胆囊摘出術の1例が報告されております.私自身は経験がなく,このような概念もなかったものですから,非常に勉強になりました.その他も珍しい症例報告が多く,臨床的に価値の高い内容と感じております.お忙しいなかご執筆されました著者の先生方の努力に敬服いたします.ぜひともご一読いただき,明日からの臨床にお役立ていただけますと幸いです.
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