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本学会の坂井義治理事長より仰せつかり,2022年4月から本会誌編集委員長を拝命いたしました佐賀大学一般・消化器外科の能城浩和と申します.元々,本学会の「出月賞」の選考もしていましたので,本会誌の原著・手術手技・私の工夫には馴染みがありました.これに症例報告と現在準備中のビデオクリップが加わり,12名の編集委員の仲間入りをして査読を行っていくことになりました.かつて学会誌が郵送で送られてきた時代には赤い表紙の本会誌を見ると必ず中身を確認するほど有益な情報源であり,全国アンケート調査集計などが掲載されると内容を詳細に解析していました.これからも自分の経験同様に会員の皆様の有益な情報源になるように編集委員会を挙げて努力する所存です.そこでベテラン会員の皆様におかれましても,和文誌である本学会誌は若手の登竜門として将来を担う若手外科医を育成するうえでも,ぜひ多くの投稿を指導していただければ幸いです.また若手外科医にとっても本会誌より選出される「出月賞」という名誉あるアワードがありますので,ぜひチャレンジするうえでも論文投稿をしていただきたいと思います
さて,今回の27巻4号掲載予定のご論文6本はいずれも症例報告ですが,稀な病態に対する内視鏡外科や手技上の工夫,さらには困難例での内視鏡外科など示唆に富むものが掲載されます.その6本のうち3本が胆囊疾患に関係する病態で,日常診療上施行する機会が多い腹腔鏡下胆囊摘出術に関しての幅広い知識が要求されていることに改めて気づかされました.かつては腹腔鏡手術の禁忌とされていた瘻孔を形成する胆石症も,時代を越えて安全に行うための努力がなされているように思えます.知っているのと知らないのとでは歴然とした結果に差が出る診療に関しては,19世紀のイギリスの哲学者フランシス・ベーコンが言う「知は力なり」〔原文では知識と人間の力は一致する(Scientia et potentia humana in idem coincidunt)〕ということでしょうか.ついでに言うと,ベーコンは「科学とは視認性があり,再現性があるもの」と定義しました.まさに外科手術も記述して初めて科学となり,だれもがほぼ同じ結果を得て手技が確立するものだと確信しています.本会誌が内視鏡外科のシンクタンクとしてますますの発展に貢献することを願って編集後記とします.
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