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特集 細胞生物学における免疫実験マニュアル
抗体の作製と吟味
定量的沈降法
Quantitative precipitation
武居 能樹
1
Yoshiki Takesue
1
1名古屋大学環境医学研究所
pp.402-403
発行日 1987年10月15日
Published Date 1987/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905026
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可溶性多価抗原と抗体の反応でもっとも基本的なのが沈降反応であり,定量的沈降法は試験管内でこの反応を利用したものである。
定量的沈降法では,一般に,一定量の抗体に添加した抗原量を横軸に,生じた沈降物量を縦軸にプロットして定量的沈降反応曲線を作成する(図1参照)。沈降反応曲線は,上清に抗原も抗体も検出されない当量域(沈降物量最大点またはこれよりやや抗体過剰域側の狭い領域)と,これを挟んで左側の抗体のみ検出される抗体過剰域,右側の抗原も抗体も検出される抗原過剰域の三つに区分できる。抗体過剰域および当量域では加えた抗原がすべて沈降物に移行しているので,沈降物量を測定すれば反応に与った抗原と抗体の量が容易に求まり,当量域での値から抗体標品の抗体含有量が計算できる。一般に,抗体過剰域から当量域にかけては沈降物中の抗体量と抗原量との比(R)は抗原添加量(A)の一次式(R=a-bA;a,bは実験で求まる定数)で表される。したがって,精製抗原を用いて定量的沈降反応曲線を作成しておけば,同じ抗体標品を用いて粗抗原標品中の抗原量を知ることができる。
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