解説講座 対談
糖の輸送について(2)
星 猛
1
,
酒井 文徳
2
1東京大学生理学教室
2東京大学薬理学教室
pp.248-251
発行日 1967年10月15日
Published Date 1967/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425902742
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非電解質輸送のNa依存性の本態
星 もう一つそういう非電解質の輸送について興味のあることはPAH分泌などもNa-dependentであるということです。Csákyがいっているように,非電解質の能動輸送にNaが必要だということは,Naが細胞の中に入つて細胞の中のNa濃度がある程度あがることが必要なのだとの見解がありますね。そうすると膜のNa-K依存性のATPaseが働いて……。遊離されたエネルギーによつて一つの"general pump"が働くと考えるわけです。そのポンプのところに入つてきたものは何でもかんでもみんなnon-specificにactiveに出すというわけです。輸送系のselectivityを決定するのは,その段階のもう一つ外側にselectiveな透過性,またはcarrier機構を考えれば,特殊のものだけがuphillに輸送されることが説明できるわけです。これに類したことがまた最近Ussingによつて報告されていますが,蛙の皮を高張液で処理しますと,蔗糖を一見,能動輸送のように体内にとり入れるようになることが判つてきました。Ussingはこれをanomalous transportと呼んでいますが,同様の機構を考えているようです。
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