初耳事典
アンジオポイエチン/他5件
森 正樹
1
1九州大学生体防御医学研究所
pp.357-359
発行日 2001年8月15日
Published Date 2001/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425902530
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アンジオポイエチン(Ang)は血管制御に重要な役割を持つ因子である。その受容体であるTie受容体ファミリーは血管内皮細胞に発現するチロシンキナーゼであり,Tie-1と-2がある。Tie-1のリガンドは明らかになっていないが,Tie-2のリガンドはAng-1から-4までの4種類が知られている。Ang-1,-4はTie-2に結合しチロシンキナーゼドメインの自己リン酸化をおこすが,Ang-2,-3はおこさないことから,前者はTie-2のアゴニスト,後者はアンタゴニストとして機能すると考えられている。特にAng-1と-2の研究が進んでいる。Ang-1のノックアウトマウスは血管新生や血管の大小の区別がなく,心臓形成不全により,胎生12.5日目に死亡する。トランスジェニックマウスでは血管径が大きく,血管密度の高い血管新生がおこる。一方,Ang-2のトランスジェニックマウスではAng-1のノックアウトマウスと同様の異常が見られる。
血管新生と退縮におけるAng-Tie-2の役割は次のように考えられている。血管の安定期には恒常的に血管壁細胞からAng-1が分泌され,血管内皮細胞と壁細胞との接着が保たれ,さらにAng-1は血管内皮細胞のアポトーシスを抑制して,血管構造を安定化している。
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