構造式で語る医学│薬物の交差反応や意外な副作用を学ぼう!・5
似たモノ? 別モノ? キノロン製剤
上田 剛士
1
1洛和会丸太町病院 救急・総合診療科
pp.556-558
発行日 2025年5月15日
Published Date 2025/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.218880510350050556
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ニューキノロンとは?
歴史上は重要であったナリジクス酸などのキノロン製剤はもはや臨床現場では使われておらず、これらは“オールドキノロン”と呼ばれています。その代わりにキノロン環の6位にフッ素原子(F)を、7位にピペラジニル基を導入することなどで安定性や組織移行性を改善し、抗菌スペクトラムが広がったニューキノロン製剤が広く使われています。フルオロキノロンもニューキノロンとほぼ同義ですが、フッ素原子を含まないニューキノロン(ガレノキサシン)もあるため、本稿では“ニューキノロン”の名称で統一します。
世界的に広く使われている3つのニューキノロンと言えば、シプロフロキサシン、レボフロキサシン、モキシフロキサシンです(図1)。セファロスポリンは構造式や生化学的特徴が似通った製剤が多いことと比べると、ニューキノロンはそれぞれ側鎖が異なり、抗菌スペクトラムや尿中排泄率に特徴があると言えます。

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