連載 ほんとうは怖いアニメーション・3
まるちゃんの下ネタ
横田 正夫
1
1日本大学文理学部心理学教室
pp.122-123
発行日 2011年7月15日
Published Date 2011/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100903
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「ちびまる子ちゃん」は「サザエさん」のような人気のアニメーションで、よく知られたキャラクターである。原作はさくらももこの漫画で、ちびまる子は、作者の分身であり、21歳のときから10年間描き続けた、自身の小学3年生の姿である。「サザエさん」を模して、成長しないままの小学3年生であり続けた。
漫画には、まる子が失敗すると、それを揶揄するようなト書きが現れる。ト書きは、原作者が、小学3年生の自分を、現在の大人の視点からダメ出ししているようなもので、漫才におけるボケとツッコミのように、小学3年生の自分(まる子)がボケると、成人の自分(原作者)がツッコミをいれるといった関係が成り立っている。つまりまる子は、上から(大人から)の視点で見られている。それを暗示するように、漫画ではひとつのコマの中に、他者の後頭部と、その向こう側にまる子の全身が描かれる構図がよく使用されている。子どものやり取りを、大人の視点から俯瞰する構図である。
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