連載 療養風景―介護の工夫・第4回
肺炎の予防
谷垣 靜子
1
1鳥取大学医学部保健学科
pp.902-903
発行日 2003年11月1日
Published Date 2003/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100810
- 有料閲覧
- 文献概要
高齢者の肺炎は要注意です。毎年報告される全国死因順位表を見ても,肺炎は65歳以上の10大死因の上位にランクされています。美代さんも在宅療養を始めた5年半の間に5回ほど肺炎で入院しました。最近では,嚥下不良によりその危険性も増しています。しかし,最近では肺炎にかかることが少なくなりました。その背景には,肺炎予防の取り組みがあったからです。そこで,第4回は,肺炎予防について紹介したいと思います。
高齢者の肺炎の特徴は,発熱や咳・痰など,肺炎特有の著明な症状が現れにくいということです。高齢者の場合は一般に,元気がない,身体のだるさを訴える,食欲が低下するなどの症状があれば,肺炎を疑ってみてください。美代さんの場合は言語的な訴えが難しいので,周囲の人が気を配る必要があります。症状が出てからの対処療法では手遅れになることもあり,先手の予防策を行なうことが大切です。
高齢者は誤嚥が原因となって肺炎を起こしやすく,特に,無歯顎者より有歯顎者に多いとの報告があります。このことから,口腔内の状態が誤嚥性肺炎の発症に影響を与えていると考えられます。まずは,口腔内の清潔からお話ししましょう。
Copyright © 2003, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.