BOOK REVIEW
『目からウロコのクスリ問答』
星 恵理子
1
1杏林大学医学部付属病院医療安全管理室
pp.849
発行日 2005年10月10日
Published Date 2005/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100243
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薬剤治療は医師,薬剤師,そして看護師の職種が関わって実施されているが,患者への直接与薬は看護師が行なうことが圧倒的に多いため,看護師のインシデントが多い反面,与薬のエラーを防ぐ最後の砦も看護師であるといわれている。つまり,看護師は与薬業務の要なのである。それにもかかわらず,薬剤の知識が多少曖昧でも,通常の手順どおりにことを運べば与薬は完了してしまう。しかし,ひとたびエラーが起きてみると,その原因は正しい知識の不足や,流れ作業として業務を行なった結果であることは少なくない。
カリウムが危険な薬剤であることを筆者自身が確実に認識できた瞬間は,エラーを起こしたときであった。配合禁忌を知らずに点滴を行なって閉塞させたことや,冷所保存をせずに常温に放置して注意されたこともある。ただ,エラーが起きたときに,先輩から「なんで知らないの?」と言われたことはあっても,添付文書に戻って確認することや,薬剤パッケージにあるケアマークの意味を,正しく教わったことは記憶にある限り,ない。そのときに本書があれば,その後の薬剤に関するインシデントは減っていたかもしれない。
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