英語論文へのアプローチ
文献のリストから見た論文の評価
内海 滉
1
1千葉大学看護学部附属看護実践研究指導センター
pp.399-406
発行日 1985年7月15日
Published Date 1985/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681200847
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英語の論文に限らず,論文にはたいてい文献のリストがついている。文献のない論文は,よほどの大発見でもやった前人未踏の新しい学説か,あるいは,不勉強な感想・報告のたぐいである。最近では,看護学生の症例報告にも,ぎっしりと引用文献や参考文献の表が添えられるようになった。誠に頼もしい限りであるが,これがまた文句をつけだすときりがない。「看護研究」の教育ここに極まれりの想いを抱くものである。
ところで,この文献のリストを,論文の本文を読む前に,ざっと眺めてみて,論文の内容を予測する人がいる。これは案外と便利な方法なのである。本文は,はなはだまわりくどく,もったいぶった,もってまわった書き方がしてあるので,目を通すのもおっくうだという向きの連中が,ちょっとだけ参考にしようとして文献の表に目を向けたのがそもそもの始まりである。そして,"この論文の著者とこの論文の著者は同じ大学で,師弟の関係だ"とか,"この論文が引用されているようでは,こういう主張に違いない"とか,"教科書を引用しているようでは,たいしたことはない"など,いろいろ悪口を言って,結局,本文は斜めに読んでしまう。引用文献に一度読んだものがあると,本文も何となくそれと同じに見えてくるものである。文献の並べ方により,読者の偏見を左右すると言って言い過ぎではない。
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