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はじめに
1つのものを説明するときには,さまざまな視点がある。同じ動物をみる場合にも,家畜として,ペットとして,野生動物として,等さまざまな側面からその動物を説明することができる。
看護学において多くの理論では,看護というものをさまざまな側面から説明してきたが,このAACN synergy model for patient careでは,特に患者─看護師,看護師─看護師,看護師─システムの相互関係に着目して記述している(Curley, 2007)。
このモデルは,米国クリティカルケア看護師協会(American Association of Critical Care Nurses ; AACN)という集中治療室(ICU)や新生児集中治療室(NICU),progressive care unit(日本のHCUに相当。step down unitとも呼ばれる)等,クリティカルケアに携わる看護師の団体により作成された。AACNは7万人以上の会員数をもつ,世界でも有数の看護師団体であり,米国看護大学協会(American Association of Colleges of Nursing ; AACN)と区別するために,口語では「West AACN」と呼ばれることがある(American Association of Critical Care Nursesはカリフォルニア州に本部がある)。
詳細は後述するが,このモデルは開発の黎明期以外は,実践を分析しながら構築され続けており,臨床実践に非常に根ざしたモデルであるといえる。また,特定の研究者によって開発されたものではなく,臨床におけるエキスパート,研究者,学会員である臨床の看護師を含めて作成されていることも特色で,理解が比較的容易な上に臨床への応用がしやすいという特徴があるように思う。理論の構築と同時に認定試験やさまざまな臨床実践への指針にも使用されており,このモデルの理解なしには,米国のクリティカルケア看護を語ることはできないといっても過言ではない(しかしながら本モデルはクリティカルケア看護のみを記述するために作成されたわけではないことに注意いただきたい)。
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