連載 妊産婦を尊重したケアのための国際宣言「ホワイトリボン憲章」を手がかりに考える 人権のはなし・6【最終回】
生まれたての赤ちゃんの権利とは?
谷口 真由美
,
福澤 利江子
1
1筑波大学 医学医療系
pp.584-587
発行日 2023年12月25日
Published Date 2023/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665202225
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
最終回は赤ちゃんの権利について取り上げます。出産場所は,生まれた赤ちゃんにとって,親以外の大人に出会う一番初めの社会です。「ようこそ! ワンダフルワールドへ!」と赤ちゃんを尊厳のある存在として迎えるために,何が必要かを考えていきましょう。
赤ちゃんには生まれる前(胎児)と生まれた後(新生児・乳児)の時期がありますが,ホワイトリボン憲章は生まれた後の赤ちゃんのケアを対象にしています。そのため,ホワイトリボン憲章における赤ちゃんの権利の考え方は,子どもの権利と同様になります。つまり,子どもというのはとても弱い存在ですし,成長・発達の途上にある未熟な存在ですから,大人の権利よりも慎重なケアや保護が必要という考え方です。生まれたての赤ちゃんはなおさらです。親が育てるといっても,親だけに任せておけばよいというわけではない。だからといって,国がどこまで管理すればいいのでしょう? このあたりのバランスは,法的にも難しい議論になっています。
Copyright © 2023, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.