特集 母乳不足と補足を考える
扉
pp.479
発行日 2014年6月25日
Published Date 2014/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665102819
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健康な正期産児には,基本的に補足の必要はないといわれています。しかし,実際には,母乳育児をスタートした母親も,母子を支援する助産師や保健医療者自身も「母乳は足りているのか,いないのか?」「何か足したほうがよいのではないか?」と迷うことがあります。
妊娠中の母親の52.9%は「母乳が出れば母乳で育てたい」と母乳不足を暗に想定し,実際に母乳育児を開始した母親(2722名)も,母乳不足気味(32.5%),母乳が出ない(15.6%)ことを,授乳に関して困ったことの第1位,第2位に挙げています(平成17年度乳幼児栄養調査)。多くの母親は,自分の乳房から出る母乳だけで自分の子どもを本当に育てることができるのか,という漠然とした自信のなさや不安を抱えて,1日1日母乳育児という未知なる道を進んでいるともいえるでしょう。
今月の特集では,はじめに基本的な新生児の生理と代謝,補足の医学的適応,補足基準の作成と実際について理解を深めたうえで,足りないのは母乳なのか,母親の自信なのか,赤ちゃんの飲む力なのか,保健医療者の知識・技術・自信なのか,社会環境整備なのか,周囲の支援なのかを考えてみましょう。母乳不足や不足感に悩む母親への適切な支援につなげていただければ幸いです。
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