特集 医療制度と教育
へルス・チームの教育
専門家の質的向上と国民への衛生教育の徹底を
山本 幹夫
1
1順天堂大学・体育学部
pp.64-67
発行日 1965年4月10日
Published Date 1965/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203380
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量的にも質的にも不十分な専門家群
私の課題は,わが国の医療と保健の現況や保健婦(活動)の現状にたって,保健活動をするためのチームをどのようにしていったらよいか,特にそのためのヘルスチームの人たちの教育はどのようにあるべきか,などについて考察すべきであろう.すなわち,これらに関する実情にもとづいての結論とでもいうべきものである.しかし,わが国の医療や保健状態,保健婦の現状の細部に関する他の方々のうけとり方と私のうけとり方との間には,必ずしも一致しないところがありそうであり,従って結論において,そうとうのへだたりが生ずる可能性もあろう.
ただ全般的に言えることは,国民の保健指導に当たるべきいろいろなレベルの専門家(ヘルスチームのメンバー)が欧米諸国とくらべて数において少なく,また養成課程終了後の向上が質的にも十分でないこと,また保健婦活動にしても乗用車など十分な足が与えられていないために困難が多く,効果が上がりにくいことなどは,ヘルスチーム全体の問題として重要である.また,指導的立場にたつべき医師が治療活動には熱心だが,衛生教育をふくめた健康管理にはあまり熱心になっていないことは注目すべきである.もっとも,医師がこのように熱心でないのは,この仕事がわが国の医療保障体制の中ではひき合わないようになっていることも注意すべきである.
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