グラフ
患者自立への援助—国立療養所村山病院の「気づき,見守り,声かけ」の看護/昭和60年度日本看護協会通常総会開催
武藤 美知
1
,
岩下 守
,
本誌
1国立療養所村山病院
pp.856-863
発行日 1985年8月1日
Published Date 1985/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661921150
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武蔵野の面影をいまだに色濃く残している東京の郊外,武蔵村山市にある国立療養所村山病院(院長:中山昇二).ふんだんな緑に恵まれた広い敷地と,ゆったりと建てられている病棟から,この病院の歴史と特徴を言い当てるのはそれほど難しいことではないかも知れない.
村山病院が今日のように骨・運動器疾患の基幹施設として発展してきたのは,旧結季核療養所の中でも,特に骨関節結核の治療を全国に先がけて取り上げてきたことが大きく影響している.そして,結核療養所の時代から看護の分野で連綿として受け継がれているのが,疾患や障害を持ちながら生きていかなければならない人たちに対する,社会復帰への粘り強い働きかけ〈患者自立への援助〉である.勝負の早い急性期の看護と違って派手さこそないが,看護本来の機能とも言える患者の立ち直りへのトータルな援助が,ここでは存分に試され,生かされている.病院の全職員が,共通のゴールである患者の自立を目指して,患者やその家族を温かく包み込むようにして支えている姿は,物質万能の世の中で私たちが忘れつつある「何か」を思い起こさせてくれる.
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