東洋医学のはなし・2
東洋医学とは(2)
大塚 敬節
1
1北里研究所付属東洋医学研究所
pp.301-304
発行日 1975年3月1日
Published Date 1975/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661917213
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東洋医学の古典
東洋医学の最古の古典である“素問(そもん)”“霊枢(れいすう)”は,漢代にできたものであるから,今から2000年以上も前のことである.この古典は,鍼灸(はりきゅう)の診断・治療の指導書であるばかりでなく,生理・病理などの基礎的な問題を取り扱っている.この素問,霊枢よりやや遅れて,後漢の末になって“傷寒論(しょうかんうん)”という古典ができる.今から1700年も前のことである.著者は,長沙の大守をしていた張仲景だとされている.
この古典は,薬物療法の最古の古典で,傷寒とよぶ腸チブスと,それに類似の病状の疾病を発病から治癒に至るまでを,その経過に伴う病状の変化に応じて,どのように処置するかを記載し,もし医師が誤治した場合は,その誤治のいかんにより,どのように病状が変化するか,その変化にはどのように対処するかを詳しく述べ,それがそのまま一般の病気の治療の法則として広く活用できるようになっている.
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