読者文芸
短歌/俳句/詩
下島 多満
,
中川 正子
,
渡辺 順
,
瀬野 千代子
,
吉沢 志津夫
,
平山 与志
,
八木 光江
,
日光 千津子
,
田中 久枝
,
香山 成子
,
吉永 定美
,
奥田 美恵子
,
山上 三千生
pp.72-73
発行日 1963年11月1日
Published Date 1963/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661912070
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奇蹟なきかぎりは癒えぬその人に我は黙して抗癌剤をうつ両胸の小さき丘は切除され女である事は過去の如し我が胸の隆起をしかとたしかめて見しブラジャーをあてがいにつつ
《評》現代の医学をもってしても破り得ぬ幾つかの壁,その一つが癌である。この三首はいずれも切実な調をもって人間のぎりぎりの姿を示しているように思う。第一首目,読む者もまた黙すのである。第二首目,痛切極まりない思いである。第三首目,作者は若く息づいている自らに限りない幸を感じているようだ。具的体な描写が一首に命を吹きこんでいる。
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