医療行政の動き
医療行政の現状
月橋 得郎
1
1厚生省医務局総務課
pp.30-33
発行日 1963年8月1日
Published Date 1963/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911990
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はじめに
一つの国の医療行政は,その国のおかれた歴史的な背景に深く根ざしながら,その国の経済的な変動や,社会思想の変革に応じて変わってゆくものである。また医学そのものが,関連のある他の基礎科学の進歩につれて不断に進歩発展するものであるため,技術の飛躍的な進歩を医療の中にとり入れるために医療行政が変革を余儀なくされるのもまた当然といわなければなるまい。
ともあれ,明治初年の医制を受け継いだわが国の医療制度は,各時代の要請に応じて変貌を加えながら今日にいたったとはいえ,昭和36年に達成された国民皆保険による医療需要の増大や,これを契機とした社会保障の一環としての医療保障の立場の明確化をはかり,さらには医療の自由化,近代化に即応するための具体策を見いだす必要があるなど,今後医療行政の転換が予想され,いわば医療制度の曲がり角に立っている感が強いわけである。
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