講座
つゆ時期の乳児疾患の看護
砂見 一子
1
1東京大学医学部附属看護学
pp.24-26
発行日 1959年6月15日
Published Date 1959/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910865
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日常,私達が取扱つている病気の中で,感冒や下痢はよくみられる。この中で乳児下痢症は,肺炎や先天性弱質と並んで,3大死亡原因の1つであつたが,最近に於いては,抗生物質の普及,公衆衛生道徳,母親の育児知識の普及や,乳製品の進歩等によつて,下痢による死亡率は減少してきたけれども,死亡原因の上位を占めている。栄養方法から考えてみると,人工栄養児の方が母乳栄養児に比べて多く,母乳栄養児は一般に症状が軽いけれども,人工栄養児で離乳期に起つた場合は重い。又成人が下痢をしても,それ程重篤な状態にならないが,乳児の下痢は,生命に危険を及ぼす状態になり易いので,(理由については後述する)看護も大いに重要になつてくる。
時期的にみた場合,我が国の梅雨時は,湿度が高く,むし暑いため,消化液の分泌が衰えて胃腸の働きが弱り,下痢などの消化系障害,栄養障害を起しやすいのではないかと思われる。このような場合に表われる種々の症状のうち主なものを選びそれを中心として,看護について順次述べてみることにする。
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