メロデイーの泉・3
ヘンデル
山本 金雄
pp.45-48
発行日 1953年12月15日
Published Date 1953/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661909477
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
毎年クリスマスの時期に演奏される曲目には「ヘンゼルとグレーテル」のオペラとヘンデルのオラトリオ「救世主」がある。
ヘンデルが56歳の1741年(日本に於ては享保年間に当り靑木昆陽がさつま芋を普及した頃)友人のジェネンの編輯した聖書の言葉に作曲して宗教音楽の金字塔が完成した。初演は翌1742年4月13日アイルランドのダブリンで慈善事業団の為行われたが,非常な評判で連日連夜満員でその成功は決定的なものとなつた。遂に翌1743年4月13日ロンドンで公演された時には,ゲオルグ2世陛下の臨御のもとに行われたが,ハレルヤの場面で感激のあまりゲオルグ2世陛下が御起立になつた風習が今日まで伝えられている。ヘンデルは初演以來34回自ら指揮をしたが,全部その利益は社会事業団に寄附又は孤児の病院の為に贈つている。かくてヘンデルは1759年74歳の時の4月14日「救世主」の指揮をして後,キリストの受難と復活日の中間土曜日に昇天した。
Copyright © 1953, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.