特別寄稿
子どもの事故と救急蘇生
田中 裕之
1
1広島大学医学部附属病院手術部
pp.1072-1076
発行日 1998年12月25日
Published Date 1998/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611903479
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はじめに
子どもの死因の第1位は不慮の事故である。最近の研究では子どもの発達や行動パターンに応じた対策により,ほとんどの事故は防止できることがわかってきた。不運にも心肺停止状態に陥った子どもにはただちに心肺蘇生(CPR)が行なわれるべきである。
しかし,小児救急医療の現場では医療従事者を含めてCPRが普及しているとは言い難いのが現状である。その場にいる者によるCPR(bystander CPR)の重要性が叫ばれているが1),子どもといる時間が最も多い母親がCPRの実習を受ける機会はほとんどない。したがって,子どもの事故を防ぎ,死亡率を低下させるためには,両親への啓蒙活動,特にいわゆるマタニティークラスなどを利用したCPRの実技指導が重要である。
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