連載 おニューな地球人・6
新生児コミュニケーション
きくち さかえ
pp.706
発行日 1992年9月25日
Published Date 1992/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611903291
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目が覚めると夢の記憶がどんどん遠ざかっていくように,幼い日々の記憶も歳を経るごとに体からこぼれ落ちていく。生まれたばかりの人間は未熟で,社会的な学習はまだ始まっていないけれど,だからといって新生児が何も考えていないと誰が言えるだろう。誕生の瞬間や前世の記憶を持つ子供たちが実際に存在していることを思えば,新生児たちはただ言葉を持たないがゆえに表現できないだけかもしれない。大人たちはそんな頃の記憶を忘れているから彼らを理解できないでいるのだ。
誕生後,助産婦に抱かれて新生児室に向かう途中,赤ちゃんの目がカメラを発見した。一眼レフレンズを知覚し,eye-to-eye-contact。赤ちゃんは大人がすっかり忘れてしまったコミュニケーションの方法で,交信しようとしているかのようだ。
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