巻頭随想
長女出生
徳川 夢声
pp.9
発行日 1965年12月1日
Published Date 1965/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611203086
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1920(大正9)年,9月27日,私の長女俊子が,芝区田村町の家で生まれた.そのころ私たち若い夫婦は,父の借家の2階に同居していた.妻は千駄ケ谷の両親の家で出産するつもりで,出産の準備は万端その千駄ケ谷の方でできていた.
いよいよ,明日から妻はそちらへ行く予定で,私の父は送別会の意味で,9月26日の夜,妻と母をつれて恵智十という寄席へ行き,その帰りに愛宕下の天プラ屋で食事をして帰ってきた.私はその夜,赤坂葵館の仕事を終わって帰宅したばかりの瞬間だ.
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