心身症の看護・1
心身症の診察
菅原 タカ
1
,
菊地 キワ子
2
1東北大学医学部付属病院長町分院
2広南病院産婦人科
pp.53-56
発行日 1965年7月1日
Published Date 1965/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611203011
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I.はじめに
近年,精神身体医学ということがやかましくいわれているが,これは従来の医学が病気の原因を主として肉体の病変にのみ求めてきたのにたいして,病人は病める人間であり,この病人を理解するにはただ肉体の面だけから理解するのでは不完全であり,心身両面から理解してこそはじめて完壁な医学となる……という反省から生れたものだといわれる.この精神身体医学は,医師一患者間の感情的な関係をとくに重要視しているが,この実践にあたっては,医師—看護婦,あるいは看護婦—患者間の感情的な関係もまたこれにおとらないほど重要な問題である.これまでも病人の看護にあたって,病人の心理を正しく理解することの必要性は,多くの人たちによってのべられてきたが,その大部分は看護の倫理として,また看護の常識として取りあげられ,ややもすれば観念的なものに堕していたきらいがある.しかし,精神身体医学の実践となると病人との対話も正しい技術で裏うちされ,その技術を正しく用いることによって一段と治療効果がえられる……ということを知らねばならない.ところで,実際の看護にあたってどのようにすればよいか……ということになると,案外,その手引きとなるべき指導書のきわめて少ないことにおどろく.
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