Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション
「ぼくと魔法の言葉たち」—ディズニーアニメで現実世界を理解し言葉を獲得する自閉症者
二通 諭
1
1札幌学院大学人文学部人間科学科
pp.961
発行日 2017年9月10日
Published Date 2017/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552201101
- 有料閲覧
- 文献概要
「ぼくと魔法の言葉たち」(監督/ロジャー・ロス・ウィリアムズ)は,自閉症青年オーウェンを被写体とする長編ドキュメンタリー.パンフレットによると,オーウェンは2歳で言葉を失っており,いわゆる<折れ線型自閉症>.言葉を発していたころの映像では,父親をフック船長に見立てたピーターパンの遊びに興じている.医師から二度と言葉が戻らず,喋れない場合もあると告げられた両親は激しいショックに見舞われる.一方,兄・ウォルトとオーウェンは,ディズニーアニメを楽しむことによって強い絆で結ばれていた.
オーウェンは言葉を失った翌年,「リトル・マーメイド」を観ながら「ジューサーボーズ」と発する.それは劇中で使用されている「ジャスト・ユア・ボイス(声をよこせ)」というセリフであった.両親は言葉を取り戻す希望の一筋の光を感じたが,専門医は,自閉症特有のエコラリア(反響言語)であるとして積極的な意味を与えなかった.
Copyright © 2017, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.