技術講座 生理
超音波検査のアーチファクトとその対策
櫻井 進
1
,
竹中 克
1
1東京大学医学部附属病院検査部
pp.1345-1351
発行日 2001年11月1日
Published Date 2001/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543906042
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新しい知見
パワードプラコントラストエコー法:ドプラ法は血液や組織の速度を検出するために用いられてきた.パワードプラ法はこれらの動きの有無を高感度で検出する方法である.パワードプラコントラストエコー法では,レボビストなどのコントラスト剤の中の微小気泡の移動速度を検出するのでなく,微小気泡の共振または破壊により生じる超音波信号の周波数偏位を検出し画像化するものである.心筋虚血の有無を経静脈的に投与されたコントラスト剤の心筋内分布から検出することが試みられている.パワードプラコントラストエコー法を用いる場合,次の3点に注意しなければならない.まず,気泡破壊には十分な超音波強度が必要であること.つぎに対象となる範囲内で超音波強度が均一に保たれている必要がある.さらに,対象範囲内では,微小気泡の分布密度に比例して気泡の破壊が起こり染影されることが理想的である.超音波強度の分布が不均一であったり,分布密度に一致した染影が保証されていないと結果判定に混乱を生じる.すなわちアーチファクトによる染影低下であるのか,虚血などによる染影低下であるかの鑑別ができないからである.アーチファクトによる染影低下は心尖部四腔断面における心基部心室中隔や側壁の染影不良などによって生じる(図4下方点線内2か所).しかしながら実際の超音波強度は場所により均一ではない.
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