増刊号 輸血検査実践マニュアル
各論
血液型
HLA検査
血清学的検査
荒木 延夫
1
,
能勢 義介
1
,
神前 昌敏
2
1兵庫県赤十字血液センター・技術部検査課
2兵庫県赤十字血液センター・技術部
pp.130-138
発行日 1997年6月15日
Published Date 1997/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903119
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はじめに
1952年,Daussetらは白血球凝集試験を用いて輸血患者血清中に抗白血球抗体を検出し,HLA抗原(human leukocyte antigen;ヒト白血球抗原)を発見した.その後,同様の抗体がPayneらによって輸血患者のみでなく経産婦血清中にも見いだされ,HLA抗原は血清学的方法により同定,確立されていった.そして,近年,特定の遺伝子領域を指数関数的に増幅(polymerase chain reaction;PCR)し,DNAレベルで解析する方法が開発され,HLA抗原は着実に解明されようとしている.
HLA抗原は,ヒト第6染色体短腕上の主要組織適合性複合体(major histocompatibility compnex;MHC)遺伝子領域によりコードされ,MHC領域はクラスⅠ,Ⅱ,Ⅲに分類されている1)(図1).クラスⅠ遺伝子領域のHLA-A,B,C,(E,F,G)座でコードされるMHCクラスI抗原はα鎖およびβ2-ミクログロブリンからなり,ほとんどすべての有核細胞,血小板上に表現されている.また,血漿中には大量の可溶性クラスⅠ抗原が存在している.クラスⅡ遺伝子領域のHLA-DR,DQ,DP座などでコードされるMHCクラスⅡ抗原はα鎖,β鎖のヘテロ二量体からなり,Bリンパ球,活性化Tリンパ球,単球などの限られた細胞に表現されている.
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