病気のはなし
老人の貧血
大田 雅嗣
1
1東京都老人医療センター血液科
pp.1362-1367
発行日 1999年11月1日
Published Date 1999/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543904007
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新しい知見
高齢者の貧血の原因を考える場合,その大部分がいわゆる老人性貧血,続発性の貧血であるのは事実であるが,近年,血液異常に伴い発見される骨髄異形成症候群(MDS)の発症率の上昇が注目されており,おろそかにできない疾患である.MDSの治療はいまだ困難を極めており,病態の進行度に応じた治療法の確立が望まれる.MDSについては,多能性造血幹細胞のクローナルな異常が考えられ,さまざまな遺伝的要因,遺伝子発現の異常が観察されている.最近ではウィルムス腫瘍遺伝子(WT-1)の発現の程度とMDSの病態の進行度が密接な関連を有することが明らかにされ,MDSの治療の進歩に寄与するものと期待されている.
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