技術講座 一般
疥癬の検査
篠永 哲
1
1東京医科歯科大学医学部医動物学教室
pp.1085-1088
発行日 1999年8月1日
Published Date 1999/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903948
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新しい知見
疥癬の治療薬には,硫黄剤,安息香酸ベンジル,クロタミトン,γ-BHCなどがあるが,一般に使用されているのはクロタミトン10%軟膏(商品名:オイラックス)である.使用法は,頸部より下の全身に塗布し,24時間後に入浴して洗い落とし再塗布する.これを5日間繰り返せばよいとされているが,実際には10〜14日間の塗布が必要である.γ-BHCは有機塩素系の殺虫剤であるが,国内では,製造・販売が禁止されている.しかし,ノルウェー疥癬のような重症の疥癬に著効を示すので,欧米では盛んに使用されている.1%含有白色ワセリン軟膏を頸部より下の全身に塗布し,6時間後に洗い落とす.1週間後に同じ処置を行う.製造は病院の薬剤部で行い,医師の責任で使用しなければならない.殺ダニ効果は高いが,幼児,高齢者,精神疾患のあるヒトへの使用はできるだけ避け,過剰塗布をしてはならない,
最近,疥癬治療の経口薬として,フィラリアの予防,治療薬であるイベルメクチンが注目されている.内服薬なので手間がかからない,治療効果の発現が早い,患者にとっても快適であるなどの利点があり,米国などで効果を上げていると報告されている3)が,国内では入手困難である.この他,疥癬治療のための投与基準が確立されていない,副作用やヒトに対する毒性も不明であるなど,問題も残っている.
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